Category Archives: 米国IPO週報

米国市場で資金調達したばかりの有望企業について毎週アップデートしています(IPO、M&A、VC投資)。

米国IPO週報 – 2017/06/26

【米国IPO】

6月19日の週は3社が株式公開しました。

Granite Point Mortgage(GPMT)
・REIT(ニューヨーク州New York)
・商業不動産ローン債権を保有
・設立2017年、従業員 – 名
・売上$72M、利益$43M、時価総額$ M
・$195M調達、初日n/a

Altice USA(ATUS)
・通信(ニューヨーク州Bethpage)
・ブロードバンド通信サービス;オランダAlticeの米国現地法人
・設立2002年、従業員16,000名
・売上$7.7B、損失$768M、時価総額$2.2B
・$1.9B調達、初日9%上昇

Safety, Income and Growth(SAFE)
・REIT(ニューヨーク州New York)
・商業不動産用地を保有;トリプルネットリース
・設立2017年、従業員 – 名
・売上$22M、利益$8M、時価総額$364M
・$205M調達、初日5%下落

【ベンチャーM&A】

ベンチャーおよびテクノロジー関連のM&Aでは下記のような案件が話題になりました。

・NovadaqをStrykerが買収(生体蛍光イメージング;$701M)
・BonobosをWalmartが買収(男性アパレル通販サイト;$310M)
・ZenlyをSnapが買収(ソーシャルマッピング;$250M~350M)
・KongregateをModern Times Groupが買収(モバイルゲーム;$55M)
・VRBをSamsungが買収(VRプラットフォーム;$6M)
・codebenderをCodeanywhereが買収(Arduinoコード開発コミュニティ)

【ベンチャーファイナンス】

未公開企業による資金調達のなかで目立ったものをご紹介します。

<半導体、エレクトロニクス、モビリティ、etc.>

・中軌道(MEO)人工衛星のOmnispaceが$30M(用途はM2M通信など)
・メニーコアプロセッサのKalrayが$26M(スーパーコンピュータオンチップ)
・パーソナルロボットのMisty Roboticsが$12M(Spheroスピンアウト)
・マルチモーダル(モビリティ)サービスのMaaS Globalが$11M(トヨタファイナンシャルサービス、あいおいニッセイ同和損害保険も出資)

<エネルギー、環境、農業、etc.>

・えび養殖技術のtru Shrimpが$16M

<ライフサイエンス、ヘルスケア>

・赤血球治療のRubiusが$120M(自己免疫疾患、代謝性疾患、がん、など)
・がん治療薬のRepareが$68M(合成致死性に着目した創薬)
・自己免疫疾患治療薬のSyntimmuneが$50M
・幹細胞治療のGamidaが$40M(白血病、リンパ腫、など)
・ペイロニー病治療薬のEtonが$20M
・美容皮膚科クリニックのSchweiger Dermatologyが$20M
・細胞・遺伝子治療管理ソフトウェアのVinetiが$14M(GEも出資)
・医師ディレクトリAPIのBetterDoctorが$11M
・抗体レパートリー情報のSerImmuneが$8M(抗原を把握)
・受診相談アプリのCirrusMDが$7M(診療ネットワーク内でテキストメッセージ)

<教育、人材、働き方>

・学生行動管理のHero K12が$150M
・人材採用管理のyelloが$31M
・人工知能作文プラットフォームのTextioが$20M(求人広告の文章解析;採用活動を改善)
・派遣社員エンゲージメントプラットフォームのSense Talent Labsが$10M(派遣会社向け)
・人事福利厚生管理のEase Centralが$7M

<ICTインフラ、エンタープライズ、マーケティング>

・エンドポイントセキュリティのCybereasonが$100M(ソフトバンクも出資)
・クラウドセキュリティのAlert Logicが$70M
・コグニティブ業務自動化のAeraが$50M
・インターネット接続センサシステムのSamsaraが$40M(IoTゲートウェイなど)
・オンライン広告プラットフォームのMediaAlphaが$20M(RTB DSP;バーティカル検索メディア)
・ホテル顧客体験管理アプリのKEYPRが$19M(チェックイン、キーレスエントリー、など)
・宅配管理のGetSwiftが$18M
・予測メンテナンスプラットフォームのAuguryが$17M
・モバイル端末管理のMovius Interactiveが$15M(BYODに業務用電話番号を付与)
・デジタル広告クリエイティブ管理のCeltraが$15M
・アパート民泊ソリューションのPillowが$14M(居住者と管理会社が協力)
・Eコマース向けレコメンデーションのUnbxdが$13M
・財務意思決定支援のAlightが$11M(設備投資などのシナリオ比較分析
;CATも出資)
・資産(設備)管理のNuvoloが$10M
・データベース仮想化のDatometryが$10M
・クラウドセキュリティのShieldXが$9M
・ホテル予約管理のCloudbedsが$9M
・サービスアシスタントのTallaが$8M(人工知能)
・B2CマーケティングサービスのUnderground Elephantが$8M
・宴会場イベント管理のTripleseatが$7M
・在宅ワーカー向けアプリのOpen Home Officeが$7M(大部屋の職場の喧騒を再現)
・クラウドセキュリティのGreatHornが$6M

<フィンテック、etc.>

・ビットコインのBlockchainが$40M(Google、Virginも出資)
・モバイル銀行のAtom Bankが30Mユーロ(融資枠)
・月次決算自動化のFloQastが$25M
・決済カード・アプリ統合APIのSequentが$16M
・不動産投資マーケットプレースのRealtySharesが$12M(融資枠)
・スマートプリペイドカードのSoldoが$11M(支出管理)
・財務計画アプリのAdvizrが$7M(ファイナンシャルプランナー向け)
・著作権売買マーケットプレースのRoyalty Exchangeが$6M

<メディア、コンシューマ>

・若者向けメディアのViceが$450M
・アパレル通販サイトのFarfetchが$397M(JD.comも出資)
・マットレス製造直販のCasperが$170M(Targetも出資)
・食事宅配サービスのFreshlyが$77M(Nestleも出資)
・サッカー番組ストリーミングのfuboTVが$55M
・インタラクティブTVアプリのSamba TVが$30M
・婦人靴製造直販のM.Gemiが$16M
・宅配クリーニングのRinseが$14M
・若者向けメディアのMic Networkが$7M

【発行人】

TransCap 坂崎 昌平 – http://www.transcap.net

米国IPO週報 – 2017/06/19

【米国IPO】

6月12日の週は2社が株式公開しました。

Athenex(ATNX)
・バイオ(ニューヨーク州Buffalo)
・がん治療薬;経口抗がん剤、キナーゼ阻害剤
・設立2003年、従業員429名
・売上$21M、損失$118M、時価総額$663M
・$66M調達、初日14%上昇

Boston Omaha(BOMN)
・不動産(マサチューセッツ州Boston)
・屋外広告、住宅ローン保証保険、不動産管理など
・設立2015年、従業員43名
・売上$5M、損失$3M、時価総額$147M
・$72M調達、初日2%上昇

【ベンチャーM&A】

ベンチャーおよびテクノロジー関連のM&Aでは下記のような案件が話題になりました。

・Whole FoodsをAmazonを買収(オーガニック食品スーパー;$13.7B)
・ViaWestをPeak 10が買収(データセンタ;$1.7B)
・TicketflyをEventbriteが買収(チケット販売;Pandoraが$200Mで譲渡)
・Ravel LawをLexisNexisが買収(リーガルインフォマティクス)
・The Room RingをRoomiが買収(ルームメート検索)
・TrustYouをリクルートが買収(宿泊施設クチコミ)

【ベンチャーファイナンス】

未公開企業による資金調達のなかで目立ったものをご紹介します。

<半導体、エレクトロニクス、モビリティ、etc.>

・中国バイクシェアのMobikeが$600M(自転車)
・中東配車アプリのCareemが$150M
・人工知能プラットフォームのElement AIが$102M(Intel、Microsoft、Nvidiaも出資)
・ゲーム用PCのShadowが$57M
・電動バスのProterraが$55M
・トラック運転手アプリのTrucker Pathが$30M(ナビ、マーケットプレース;RenRenも出資)
・中国カーシェアのPonycarが$22M(電気自動車)
・レストラン調理ロボットのMomentum Machinesが$18M(Googleも出資)
・無線通信技術のPivotal Commwareが$17M(ホログラフィック・ビーム・フォーミング)
・自動運転車マシンビジョンのAEyeが$16M(固体LiDAR;Intel、Airbusも出資)
・人工知能音声プラットフォームのSnipsが$13M
・自動車修理見積もりアプリのSnapsheetが$12M(複数の工場が入札)
・P2PカーシェアのSnappCarが10Mユーロ
・家庭用センサのNotionが$10M
・アメフトヘルメットのVICISが$10M(安全性向上)
・無線スペクトラム可視化システムのDigital Global Systemsが$9M(通信インフラ最適化)
・ランタイム暗号化のFortanixが$8M(Intel SGX利用)

<エネルギー、環境、農業、etc.>

・住宅向け太陽光発電のSunnovaが$140M(融資枠)
・昆虫由来タンパク質のProtix Biosystemsが$50M(飼料)
・ベビーリーフのBowery Farmingが$20M(植物工場)

<ライフサイエンス、ヘルスケア>

・健康指導プログラムのOmada Healthが$50M
・腰部脊椎管狭窄症治療機器のVertosが$28M
・遺伝子検査のCentogeneが$28M(希少遺伝性疾患)
・DNA合成受託サービスのTwistが$27M
・がん免疫治療薬のCheckmateが$27M
・生命科学研究開発支援サービスのLabConnectが$25M
・処方箋薬宅配のAlto Pharmacyが$23M
・人工呼吸器管理システムのART Medicalが$20M(胃逆流、唾液を監視)
・電子カルテ管理アプリのChartSpanが$16M
・医療教育のLucid Group Communicationsが$14M
・問題行動医療プログラムのMindstrongが$14M
・予防医療サービスのArivaleが$14M(DNA診断など利用)
・再生医療のAziyoが$12M
・睡眠改善ウェアラブルのDreemが$11M
・医療画像共有のFigure 1が$10M(Verizonも出資)
・イオントフォレシス局部麻酔のTuskerが$10M(小児中耳腔換気用チューブ挿入手術向け)
・脳動脈瘤治療機器のEvascが$10M
・骨移植片のGreenBoneが$9M(植物由来;竹)
・抗体医薬品のORUMが$8M
・眼科疾患治療薬のOcugenが$8M(眼移植片対宿主病など)
・ヘルスケアSNSのMyHealthTeamsが$7M
・バーチャルクリニック(遠隔診療)のCarenaが$6M
・がん治療薬のCybrexaが$6M(DNA修復阻害剤)
・問題行動ビデオ遠隔医療のRegroupが$6M

<教育、人材、働き方>

・従業員アンケートのCulture Amptが$20M(満足度の業界ベンチマーク比較)
・人材採用プラットフォームのEnteloが$20M
・大学授業支援のTop Hatが$8M(BYODソリューション)

<ICTインフラ、エンタープライズ、マーケティング>

・仕事用メッセージングアプリのSlackが$500M(募集中)
・事業継続リスク管理のFusion Risk Managementが$41M
・ビデオ配信最適化のConvivaが$40M
・契約管理のExariが$24M
・コンピューティングプラットフォームのInstabaseが$23M
・在庫処分マーケットプレースのINTURNが$23M
・データ・エンリッチメント・プラットフォームのCrowdFlowerが$20M
・Eコマース物流サービスのShipBobが$18M
・ITソリューションのaXiomaticが$17M(BPR、地理空間データシステムなど)
・電子署名のHelloSignが$16M
・コグニティブクラウドのCognitiveScaleが$15M(機械学習による顧客エンゲージメントなど)
・営業促進プラットフォームのHighspotが$15M(マーケティングと販売の連携支援;Salesforceも出資)
・フィールドサービス管理のDispatchが$12M
・サイバセキュリティのSqrrlが$12M(ビッグデータ解析による不正検知)
・Eコマース新規顧客開拓のROKTが$11M
・企業法務ツールのAtrium LTSが$11M
・なりすまし対策のTrusonaが$10M(IDカードリーダつきスマホトークン)
・オープンソース利用管理のWhiteSourceが$10M
・商業不動産マーケティングのBuildoutが$8M
・従業員位置情報APIのHyperTrackが$7M
・B2CマーケティングのZaiusが$7M(CRM)
・ライブ動画取得管理のMake.TVが$7M(放送局向け)
・携帯端末検知のBlueFox.IOが$7M(店舗内マーケティング、宿泊者数チェックなど)
・SNSコンテンツ効果解析のShareableeが$7M
・インターネット接続サービスのCommon Networksが$7M

<フィンテック、etc.>

・損害保険アプリのSureが$8M(コンシューマ向け)
・会計自動化のCeterusが$6M(スモールビジネス向け)

<メディア、コンシューマ>

・フィットネス教室アプリのClassPassが$70M(複数のジムを利用できる会員サービス)
・倉庫保管サービスのClutterが$64M
・モバイルゲームのScopelyが$60M
・自然派化粧品のYes Toが$56M
・クラフトピザのOath Craft Pizzaが$7M
・仮想現実エンタテイメントのNomadic VRが$6M
・モバイルゲームのTreasureHuntが$6M

* IPO以外は金額ベースで上位3件に絞り込んでいます。
他の案件はブログ版でご覧ください。
https://venturewatch.wordpress.com

【発行人】

TransCap 坂崎 昌平 – http://www.transcap.net

テックIPOレビュー(2017年5月)- Appian、Veritoneなど

先月はローコード開発プラットフォームのAppianが株式公開しました。初日に25%上昇しており、その後の株価推移も堅調です。ローコード開発(Low-code development;Rapid Application Deliveryとも言います)プラットフォームでは、GUI操作が中心でいちからコードを書かなくてもよいので、プログラミングの経験が少ない人であっても、ウェブやモバイルのアプリを短時間で作成できるそうです。出来合いのテンプレートやワークフローが用意されているので、IT部門のプログラマの作業負担を減らしたり、ビジネスマンがセルフサービスで業務アプリを作成したりできます。企業の様々な部門が様々な目的のアプリを使ってデジタル化(業務プロセス自動化)を進めることができ、日々の現場で生成変化する業務課題への迅速な対応や継続的な改善が可能になります。

類似のベンチャー企業として、Outsystems、Mendixなどがありますが、IPOはAppianが一番乗りとなりました。大手企業では、SalesforceがCRMの拡張機能を中心にAppCloud LightningやAppExchangeで同様のサービスを展開しています。最近ではEinsteinという人工知能による予測機能をアプリに実装できるようです。

人工知能関連では、Veritoneが株式公開しました。初日に13%下落しており、現在の時価総額は$172Mにとどまっています。同社の人工知能プラットフォームでは、Google、IBM、Microsoft、Nuanceなど複数の人工知能エンジンを使って、音声や動画などの非構造化データを解析できるそうです。もともとオンライン広告ビジネス(人工知能によるメディア検索・解析を生かした広告プレースメントなど)を展開していましたが、そちらの売上は減少傾向にあり、より汎用的なクラウドサービスへの業態転換を進めている最中とのことです。今回のIPOは、ハイプサイクルの幻滅期に入ったとも言われる人工知能に対する市場の冷静な評価が現れた形となりましたが、人工知能の応用普及の状況を把握する上で参考までに今後もウォッチを続けたい銘柄です。

【2017年5月のテックIPO】

Appian(APPN)
・ソフトウェア(バージニア州Reston)
・企業向けアプリ開発プラットフォーム
・設立1999年、従業員753名
・売上$135M、損失$18M、時価総額$704M
・$75M調達、初日25%上昇

SMART Global Holdings(SGH)
・エレクトロニクス(カリフォルニア州Newark)
・メモリ製造;DRAM、Flash;ブラジル市場向け
・設立1988年、従業員1,139名
・売上$627M、損失$8M、時価総額$228M
・$58M調達、初日22%上昇

Veritone(VERI)
・ソフトウェア(カリフォルニア州Newport Beach)
・人工知能プラットフォーム;メディアなど非構造化データ解析
・設立2014年、従業員150名
・売上$9M、損失$30M、時価総額$208M
・$38M調達、初日13%下落

【発行人】

TransCap 坂崎 昌平 – http://www.transcap.net