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米国ベンチャーキャピタルのファンド募集、投資活動、投資先Exitの動向

米国VC統計チェック(2026年;第1四半期)

【ポイント】

・ファンド募集が増加傾向に転じた。

・投資総額とExitバリュエーション総額が急増した。

・OpenAI、Anthropic、xAI(Space Xが買収)といった生成AIの大型案件が大きな比重を占めた。

・これらの企業はIPOの準備を進めており、その成否が業界の今後を大きく左右する。

【米国VCファンド募集】

2026年の第1四半期まで(3か月間)のファンド募集総額は$48Bだった。通年に換算すると前年を187%上回るペースとなっている。

過去3年間の減少傾向に歯止めがかかったと見られるが、上位6社がファンド募集総額の76%を占めており、大型案件に投資する有力なVCへの資金集中が続いている。

【米国VC投資活動】

2026年の第1四半期までのVC投資総額は$267Bで、通年換算で前年を232%上回るペースとなった。一方で投資件数は4,594件で、8%上回るペースとなっている。

OpenAI($126B)、Anthropic($30B)、xAI($20B;その後Space Xが$250Bで買収)といった生成AIの大型案件がVC投資総額を引き上げた。

他にもWaymo(ロボタクシー;$16B)、Shield(軍事用自動運転システム;$2.25B)、Nscale(AIインフラ;$2B)、Skid(ロボット向け物理AI;$1.4B)などが大型の資金を調達している。

【米国VC投資先Exit】

2026年の第1四半期までのVC投資先Exitは399件だった(通年換算で前年を1%上回るペース)。うちIPOは20件で全体の5%を占めた。

VC投資先のIPOとしては、EquipmentShare(建機レンタル;$6.7B)、BitGo(暗号資産保管;$2.2B)、Generate(AI創薬;$2.2B)などがあった。

2026年の第1四半期までのExitバリュエーションの総額は$347Bで、通年に換算すると昨年を384%上回るペースとなっている。

ただし、その総額の72%をSpace XによるxAIの買収($250B;株式交換)が占めており、それを除いた総額は$97Bで前年を36%上回るペースとなる。

【今後の見通し】

OpenAI、Anthropic、Space XはIPOの準備を進めており、その成否が業界の今後を大きく左右する。

他の大型IPO候補として、Canva(グラフィックデザインツール)、Cerebras(AIチップ/インフラ)、Cohesity(データセキュリティ)、Databricks(データ統合解析)、Wealthfront(資産運用アプリ)などが期待されている。

データ出典:National Venture Capital Association米国IPO週報

米国VC統計チェック(2025年;通年)

【米国VCファンド募集】

2025年のファンド募集総額は$66Bで前年から35%減少した。組成ファンド数も2022年から減少傾向が続いていて、2025年は537と過去10年間で最も少なくなっている。

背景として、ファンド出資者へのキャッシュフロー(分配金-出資金)の赤字が続いていること、VCの投資余力が高止まりしていること(2025年第2四半期の時点で$299B)、海外機関投資家が米国ファンドへの出資に慎重になっていることなどが考えられる。

【米国VC投資活動】

2025年のVC投資総額は$339Bで前年から59%増加した。投資件数は16,709件で前年から10%増加した。AI投資ブームやExit市場の回復傾向が追い風になっている。

AI関連の大型案件へ投資資金の集中が続いていて、件数にして39%の案件が総額の65%を占めた。大手ハイテク企業のCVC投資が大きな役割を果たしている。

【米国VC投資先Exit】

2025年のVC投資先Exitは前年を28%上回る1,635件だった。Exitバリュエーションの総額は$298Bと前年を93%ほど上回っている。

VC投資先ExitのうちIPOは昨年を9%下回る48件で全体の3%を占めた。新政権発足後の関税交渉による混乱、連邦政府機関の閉鎖長期化などがIPOの逆風となった。

VC投資先の大型IPO案件としては、CoreWeave(GPUクラウド;$22.4B→現在$50.4B)、Figma(ウェブデザインツール;$19.8B→$14.7B)、Klarna(Eコマース決済;$15.3B→$11B)、SailPoint(IDセキュリティ;$13.2B→$10.3B)、Chime(モバイル銀行;$11.4B→$9.8B)などがあった。

データ出典:National Venture Capital Association米国IPO週報
* いずれも推定値で後から修正されるのでご了承ください。


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米国VC統計チェック(2025年;第3四半期)

【米国VCファンド募集】

2025年の第3四半期まで(9か月間)のファンド募集総額は$46Bだった。通年に換算すると前年を29%下回るペースとなっている。

【米国VC投資活動】

2025年の第3四半期までのVC投資総額は$250Bで、通年換算で前年を55%上回るペースとなっている。投資件数は12,422件で、同じく8%上回っている。

AI関連の大型案件へ投資資金の集中が続いていて、件数にして38%の案件が総額の64%を占めた。

資金調達環境の厳しさを反映して、ベンチャー融資が増加している。2025年の第3四半期までで$50Bに達しており、急増した2024年を上回る勢いとなっている。

CVCが参加したVC投資の全体に占める比率は、件数ベースでは21%と減少傾向にあるが、金額ベースでは62%と増加傾向にある。

【米国VC投資先Exit】

2025年の第3四半期までのVC投資先Exitは1,135件だった(通年換算で前年を20%上回るペース)。うちIPOは35件で全体の3%を占めた。

2024年の第3四半期までのExitバリュエーションの総額は$205Bだった(通年換算で前年を79%上回るペース)。

2025年第3四半期の主なVC投資先IPOは下記の通り。

Figma(ウェブデザインツール;時価総額$19.8B)
Klarna(Eコマース決済;無利子分割払い;時価総額$15.3B)
StubHub(イベントチケットマーケットプレース;時価総額$9.5B)
Netskope(クラウドセキュリティ;時価総額$9B)
Firefly(小型ロケット/月着陸機;時価総額$7.2B)
Figure(ホームエクイティローン;時価総額$6.1B)
Via Transportation(公共交通運行管理;時価総額$4.2B)
Gemini(暗号資産交換所;時価総額$3.5B)
Heartflow(心臓疾患診断支援ソフトウェア;時価総額$1.7B)

データ出典:National Venture Capital Association米国IPO週報