【2022年の米国IPO市場】
2022年の米国市場での株式公開は71社(前年比82%減)で、2009年以来の低水準でした。調達総額は$8Bで前年($143B)の18分の1に減りました。
背景として、インフレ悪化と金融引き締め、大手ハイテク企業の成長鈍化などによる株式市場の低迷と投資家のリスク回避傾向があります。
業界別の内訳は、ヘルスケアが30%(前年39%)、テクノロジーが27%(前年27%)、コンシューマが15%(前年11%)となっています。
時価総額が$10Bを超える大型案件として、Mobileye(ADAS/自動運転システム;Intel傘下)、Corebridge(退職金運用/生命保険;AIGカーブアウト)がありました。
前年は$20Bを超える案件が12件あったので、IPOの件数、調達金額だけでなく、時価総額も下方修正されていると言えそうです。
2021年7月から途絶えていた中国企業の米国IPOは、2022年2月のMeihua(病院/薬局向け消耗器具備品)を皮切りに、中小型株の上場が再開しています。
SPAC(特別目的買収会社;白紙小切手会社)のIPOは84件(前年は613件)、SPACによる未公開企業の買収(いわゆるde-SPACによる逆さ上場)は103件(前年は604件)でした。
de-SPACの注目案件(時価総額$2B<)として、MSP Recovery(医療費回収代行)、Flexjet(プライベートジェットサービス)、LanzaTech(代替燃料)、Grindr(LGBTQ+向けマッチングアプリ)、X-energy(小型モジュール原子炉)などがありました。
VC投資先のIPOによるExitは第3四半期までの9か月間で59件と前年同時期(221件)を73%下回るペースで推移しています。
2023年のIPO候補として、Arctic Wolf(セキュリティオペレーションセンタ)、Databricks(データ統合解析)、Flexport(グローバル貨物輸送フォワーダ)、Stripe(オンライン決済API)、Revolut(デジタル銀行)、Plaid(銀行口座接続API)、Instacart(スーパー宅配)、Guild Education(従業員教育研修)、Faire(生活雑貨卸売)、TripActions(出張管理)、Lyra Health(メンタルヘルスケア)、Plenty(植物工場)、Tempus(ゲノム検査)、Canva(グラフィックデザインツール)、Icon(3Dプリンティング住宅)などが期待されています。
- 2022年のIPO件数: 71社(2021年397社、2020年221社)*
- 2022年のIPO調達総額: $8B(2020年$143B、2020年$78B)
- 2022年のIPO後の平均リターン: ▲57%(2021年▲11%;2020年111%)**
* 2021年の日本のIPO件数は91社(2021年125社、2020年93社)
** Renaissance US IPO Index:直近2年間の米国IPO銘柄について時価総額ベースで上位80%を加重平均した指標(米国投資顧問会社の上場投資信託商品);2022年12月29日引値ベース
データ出典:National Venture Capital Association、Reneissance Capital、IPOScoop、SPACInsider、米国IPO週報
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