Year in Review 2021

【2021年の米国IPO市場】

2021年の米国市場での株式公開は397社(前年比80%増)で、2000年以来の高水準となりました。業界別の内訳は、ヘルスケアが39%、テクノロジーが27%、コンシューマが11%となっています。

新型コロナ流行の長期化にもかかわらず、大規模な経済対策、金融緩和の継続、経済正常化への期待を背景に、主要な株価指標が史上最高値を更新するなかで、IPOも記録的な活況となりました。

時価総額が$20Bを超える大型案件として、Coinbase、Rivian、DiDi、Coupang、Nu、Robinhood、UiPath、AppLovin、Roblox、GlobalFoundries、Toast、Full Truck Allianceなどがありました。

一方で、景気回復への期待による景気敏感株へのシフト、インフレの深刻化による利上げの前倒し決定などにより、テクノロジー/新興株は調整局面に入っており、2021年のIPOの多くは公募価格割れになっています。

通常のIPOとは別に604社のSPAC(特別目的買収会社;白紙小切手会社)が株式公開によって1,400億ドル超の資金を調達しました。SPACによる未公開企業の買収(いわゆるde-SPACによる逆さ上場)も活発化しています。

逆さ上場の大型案件として、Grab、Ginkgo、Aurora、Roivant、WeWork、Rocket Lab、Cvent、IronQ、EQRx、Embark、などがありました。第3四半期までの9か月間で181件の逆さ上場があったそうです。

2020年に成立した「外国企業説明責任法」に加えて、中国政府による大手ハイテク企業への引き締めもあり、中国企業の米国IPOは2021年7月を最後に途絶えています。Didiの株価は上場時から69%下落しており、米国上場廃止/香港上場の手続きを開始しました。

VC投資先のIPOによるExitは第3四半期までの9か月間で221件と前年の3.3倍のペースで推移しています。

2022年のIPO候補として、Stripe、Klarna、Revolut、Chime、Plaid、Cybereason、Databricks、Everlaw、Rippling、Tanium、Talkdesk、ServiceTitan、Honor、Guild Education、MasterClass、Instacart、Divvy、Glossier、Lower、Thrasio、TripActions、Farmers Business Network、Impossible Foods、Verily、Flexport、HoneyBook、Houzz、Patreon、Quora、Relativity Space、などが期待されています。

  • IPO件数: 397社(2020年221社、2019年162社、2018年193社)*
  • IPO調達総額: $143B(2020年$78B、2019年$46B、2018年$47B)
  • IPO後の平均リターン: マイナス11%(2020年111%;2021年のS&P500は29%)**

* 2021年の日本のIPO件数は125社(2020年93社、2019年86社、2018年97社)
** Renaissance US IPO Index:直近2年間の米国IPO銘柄について時価総額ベースで上位80%を加重平均した指標(米国投資顧問会社の上場投資信託商品);2021年12月30日引値ベース

2021年の大型IPO案件はこちら
2021年の注目M&A案件はこちら
2021年の米国VC統計チェックはこちら

データ出典:National Venture Capital Association、Reneissance Capital、IPOScoop、White & Case、米国IPO週報

Year in Review 2021」への2件のフィードバック

  1. ピンバック: Year in Review 2022 | 米国IPO週報

  2. ピンバック: 米国IPO週報 – 2023/01/02 & 謹賀新年 | 米国IPO週報

コメントは受け付けていません。