米国VC統計チェック(2023年;第3四半期)

【米国VCファンド募集】

2023年第3四半期までの9か月間のファンド募集総額は$43Bだった。通年に換算すると前年を67%下回るペースとなっている。

VCの投資余力は2023年第3四半期の時点で$303Bだった。一方で、現存する未公開のVC投資先は51,000社にのぼる。

単純計算すると、投資余力は1社につき$6Mであり(2023年第3四半期の平均調達額は$14M)、投資先の選別と淘汰が加速している。

今年10月にはConvoy(トラック運送手配アプリ;累計$900M調達)、11月にはOlive AI(医療機関向けRPA;$852M)、Veev(モジュラー住宅;$647M)など、いわゆるユニコーンの倒産が相次いだ。

NYTによれば、2023年に入って約3,200社のVC投資先が経営破綻しており、これらの投資損失の総額は$27Bに達している。

【米国VC投資活動】

2023年第3四半期のVC投資総額は$37Bで、通年換算で前年を31%下回るペースだった。投資件数は2,716件で、同じく24%下回っている。

シード/アーリーステージの資金調達は減少傾向が続いている。大型案件も減っていて、既存投資家によるつなぎ融資やダウンラウンドが増えている。

CVCが参加したVC投資の全体に占める比率は件数ベースで24%と2015年以来の低水準となった。

【米国VC投資先Exit】

2023年第3四半期のVC投資先Exitは216件だった(通年換算で前年を17%下回るペース)。うちIPOは25件で全体の11%と回復傾向にある。

大型IPO案件としては、Instacart(食品スーパー宅配;IPO時価総額$10B→現在$6.9B)、Klaviyo(マーケティング自動化;$9.2B→$7.3B)があった。

Exitバリュエーションの総額は$36Bで、第3四半期の$6Bから大幅に改善した。通年換算では前年を10%下回り、2013年以来の低水準にとどまっている。

データ出典:
National Venture Capital Association
From Unicorns to Zombies: Tech Start-Ups Run Out of Time and Money – The New York Times(Dec. 7, 2023)