【2019年の米国IPO市場】
2019年の米国市場での株式公開は159社で、前年から17%ほど減少しましたが、過去3年間の平均を若干上回る水準となりました。
米中貿易摩擦や景気後退懸念にもかかわらず、低金利の継続や堅調な雇用と個人消費を背景に、主要な株価指標が最高値を更新するなかIPOも安定的に推移しました。
一方で、Lyft、Uber、Slackのように、有名なユニコーン企業がバリュエーションを抑えて上場したものの、その後の株価が低迷しているといったケースが目立ちました。
積極的な先行投資にもかかわらず売上高やユーザ数の成長が鈍化する傾向がでており巨額の赤字を解消するめどが立ちにくいことから投資家の評価が厳しくなっています。
一部のプラットフォーマー企業では、オンデマンドワーカの待遇改善、個人データの保護、不正利用への対策など、コスト負担の増大も逆風となっています。
- IPO件数: 159社(2018年は191社;2017年は160社;2016年は105社)*
- IPO調達総額: $46B(2018年は$47B;2017年は$36B;2016年は$19B)
- IPO後の平均リターン: 34%(2018年はマイナス18%;2019年のS&P500は30%)**
* 2019年の日本のIPO件数は86社(2018年は97社;2017年は90社;2016年は83社)
** Renaissance US IPO Index:直近2年間の米国IPO銘柄について時価総額ベースで上位80%を加重平均した指標(米国投資顧問会社の上場投資信託商品);2019年12月20日引値ベース
【2019年の米国VC投資先のIPO】
2019年(第3四半期まで)のVC投資先IPOは昨年とほぼ同水準の67件となっています。
【2020年の主なIPO候補】
2020年は、Airbnb、Wish、DoorDash、Procore、Casper、Robinhood、Credit Karma、Snowflake、GitLab、Asana、Instacart、Unity、Didi ChuxingなどのIPOが期待されています。
データ出典:National Venture Capital Association、Reneissance Capital、米国IPO週報