【2017年の米国IPO】
2017年の米国IPOは、低水準だった2016年から件数ベースで1.5倍と増加に転じており、2015年に近い水準にもどった。マクロ経済指標の改善、低金利の継続(緩やかな利上げの見通し)、大手IT企業の好業績、法人減税への期待などによる、堅調な株式市場を背景に、主としてテクノロジー、バイオ、中国企業のIPOが市場を牽引した。
引き続き、株式市場における時価総額の期待値が、一昨年頃まで加熱していたVC投資の仕入れ値に見合わないため、いわゆるユニコーンたちのIPOが停滞している。とりわけ、2017年前半のSnapやBlue Apronの大型IPOとその後の低迷は年間を通じてネガティブな影響を与えたと考えられる。2018年はLyft、Pinterest、DropboxなどのIPOが期待されている。
IPO件数 160社(2016年は105社;2015年は170社)*
IPO調達総額 $36B(2016年は$19B;2015年は$30B)
IPO後の平均リターン** 35%(2016年はマイナス0.5%;2015年はマイナス2%;2017年のS&P500は21%)
* 2017年の日本のIPO件数は90社(2016年は83社;2015年は104社)
** Renaissance US IPO Index:直近2年間の米国IPO銘柄について時価総額ベースで上位80%を加重平均した指標(米国投資顧問会社の上場投資信託商品)
【2017年の未公開企業の資金調達】
2017年(第3四半期まで)のVC投資総額は$61Bだった。前年を1割近く上回るペースである。ただし、大型案件に集中する傾向もあり、投資件数は5,948件と減少傾向にある。
【2017年の米国VC投資先のExit】
2017年(第3四半期まで)のVC投資先Exitは530件となっている。昨年と同水準のペースでやや低調である。
各四半期の大型IPO案件は、Snap(Q1、時価総額$19.7B)、Blue Apron(Q2、$1.9B)、Roku(Q3、$1.3B)、Stitch Fix(Q4、$1.8B)など。
各四半期の大型M&A案件は、Intel/Mobileye(Q1、買収価格$15.3B)、PetSmart/Chewy(Q2、$3.5B)、Sage/Intacct(Q3、$850M)、Toutiao/Musical.ly(Q4、$800M)など。
データ出典:National Venture Capital Association、Reneissance Capital、米国IPO週報
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