【2016年の米国IPO】
米国IPOは2014年を直近のピークとして減少傾向が続いている。2016年は、件数ベースで2009年以来、調達総額ベースで2003年以来の低水準となった。要因として、第1四半期の株価低迷、英国のEU離脱決定、米国の大統領選挙、大型テクノロジー案件の不在、など。株式市場における時価総額の期待値が、加熱していたVC投資の仕入れ値に見合わないため、いわゆるユニコーンたちのIPOが停滞している。業種別では、前年に引き続き、バイオなどヘルスケア関連IPOが市場を牽引した。ちなみに、2016年の日本のIPO件数は83社(2015年は104社)だった。
IPO件数 105社(2015年は170社)
IPO調達総額 $19B(2015年は$30B)
IPO後の平均リターン* マイナス0.5%(2015年はマイナス2%;2016年のS&P500は9.5%)
* Renaissance US IPO Index:直近2年間の米国IPO銘柄について時価総額ベースで上位80%を加重平均した指標(米国投資顧問会社の上場投資信託商品)
【2016年の未公開企業の資金調達】
2016年(第3四半期まで)のVC投資総額は$56Bとなっている。前年を2割近く下回るペースである。歴史的には引き続き高水準にあるが、投資金額は2四半期連続、投資件数は5四半期連続で減少している。 (NVCAの統計データのパートナーが変わったため、以前の数値との整合性は必ずしもありません。)
【2016年の米国VC投資先のExit】
2016年(第3四半期まで)のVC投資先Exitは535件となっている。
好調だった2014年の1,027件から、2015年の940件に続いて、通年で減少となる可能性が高い。2015年に比べて、IPOが激減している一方、M&Aは比較的堅調である。
各四半期の大型IPO案件は、BeiGene(Q1、$158M調達)、Twilio(Q2、$150M)、Nutanix(Q3、$238M)など。
各四半期の大型M&A案件は、IBM/Truven Health Analytics(Q1、買収価格$2.6B)、Tencent/Supercell(Q2、$8.6B)、Walmart/Jet(Q3、$3.3B)など。
データ出典:National Venture Capital Association, Reneissance Capital IPO Center