米国IPO週報 – 2018/09/17

【米国IPO】

9月10日の週は5社が株式公開しました。

FVCBankcorp(FVCB)

FVCbank – Success Has A Bank


・金融(バージニア州Fairfax)
・商業銀行;ワシントンDC近郊とバージニア州北部をカバー
・設立2007年、従業員98人
・売上$9M、利益$1M、時価総額$257M
・$35M調達、初日±0%

Principia Biopharma(PRNB)
http://www.principiabio.com/
・バイオ(カリフォルニア州South San Francisco)
・低分子医薬品;尋常性天疱瘡、固形がん、など
・設立2008年、従業員53人
・売上$29M、損失$8M、時価総額$364M
・$100M調達、初日92%上昇

Qutoutiao(QTT)
http://www.qutoutiao.net/
・インターネット(中国Shanghai)
・モバイルコンテンツ;ニュースアプリ、など
・設立2016年、従業員1,302人
・売上$164M、損失$85M、時価総額$1.2B
・$128M調達、初日128%上昇

111(YI)
http://www.111.com.cn/
・Eコマース(中国Shanghai)
・オンライン薬局
・設立2010年、従業員1,117人
・売上$184M、損失$37M、時価総額$626M
・$101M調達、初日1%下落

NIO(NIO)
https://www.nio.io/
・自動車(中国Shanghai)
・電気自動車メーカ
・設立2014年、従業員6,231人
・売上$7M、損失$930M、時価総額$6.4B
・$1B調達、初日5%上昇

【ベンチャーM&A】

ベンチャーおよびテクノロジー関連のM&Aでは下記のような案件が話題になりました。

AugmenixをBoston Scientificが買収(医療材料;前立腺がんX線治療で健康な組織を分離保護するヒドロゲル;$600M)

Patient Home


CCP GamesをPearl Abyssが買収(MMOゲーム;$425M)
https://www.ccpgames.com/
CornershopをWalmartが買収(中南米オンライン食品スーパー;$225M)
https://cornershopapp.com/
TeemをWeWorkが買収(会議室予約管理;$100M)
https://www.teem.com/
HowStuffWorksをiHeartMediaが買収(雑学コンテンツ;$55M)
https://www.howstuffworks.com/
SupdateをCrowdcubeが買収(株主報告管理)
http://supdate.com/
DonRiverをCienaが買収(ネットワーク運用支援システム)
http://www.donriver.com/index.html
Machine BoxをVeritoneが買収(Dockerコンテナ機械学習)
https://machinebox.io/
BaseをZendeskが買収(CRM)
https://getbase.com/
MeuralをNETGEARが買収(デジタル絵画フレーム)
https://meural.com/
InvuityをStrykerが買収(手術用照明)
https://invuity.com/
EITをJohnson & Johnsonが買収(脊椎インプラント;3Dプリンタで製造)
http://www.eit-spine.de/cms/en/home/

【ベンチャーファイナンス】

未公開企業による資金調達のなかで目立ったものをご紹介します。

<半導体、エレクトロニクス、モビリティ、etc.>

中古車マーケットプレースのShiftが$140M
https://shift.com/
全固体電池のSolid Powerが$20M
http://solidpowerbattery.com/

<エネルギー、環境、農業、etc.>

分散エネルギー管理システムのAutogridが$32M(データ解析)
https://www.auto-grid.com/

<ライフサイエンス、ヘルスケア>

抗体医薬品のAtrecaが$125M(がん免疫治療)
https://www.atreca.com/
がん血液診断のEpic Sciencesが$52M

Home Page


抗体医薬品のOncoResponseが$40M(がん免疫治療)
http://www.oncoresponseinc.com/
神経疾患・精神障害治療薬のSystem1が$25M
https://system1.bio/
生体分子構造測定システムのBiodesyが$20M
http://www.biodesy.com/
慢性神経因性疼痛治療薬のCODAが$19M
https://www.codabiotherapeutics.com/

<教育、人材、働き方>

デジタルワークスペースのBeekeeperが$13M(従業員コミュニケーションアプリ)
https://www.beekeeper.io/en

<ICTインフラ、エンタープライズ、マーケティング>

オープンソースコード管理のSonatypeが$80M
https://www.sonatype.com/
データ解析のSisenseが$80M(BI)
https://www.sisense.com/
クラウドストレージのWasabiが$68M

Fast, Affordable Cloud Storage & Secure Data Protection Copy


コンテナ監視のSysdigが$69M(ランタイムセキュリティ)
https://sysdig.com/
スタートアップ向け法務サービスのAtriumが$65M
https://www.atrium.co/
ハイブリッドクラウドのDatriumが$60M(サーバ・パワード・ストレージ)

Home


データベースのPingCAPが$50M(オープンソースTiDB)
http://www.pingcap.com/en/
上場企業向けIRプラットフォームのQ4が$38M(投資家への情報開示)
https://www.q4inc.com/
ベアメタルクラウドのPacketが$25M
https://www.packet.net/
クラウド管理のHyperGridが$25M
https://hypergrid.com/
ビジネス意思決定支援のCosmo Techが$21M(AI+人間)

Home


EメールセキュリティのGlasswallが$20M
https://www.glasswallsolutions.com/
位置情報マーケティングのHYP3Rが$17M
https://hyp3r.com/
ワイン通販プラットフォームのDRINKSが$15M
https://www.drinks.com/
マリファナ販売業者向けPOSソフトウェアのTreezが$15M
https://www.treez.io/

<フィンテック、ブロックチェーン、etc.>

ゲーム開発プラットフォームのCocos BCXが$40M(ブロックチェーン)
http://www.cocosbcx.io/en/
個人向けファイナンシャルプランナーのFacet Wealthが$33M
https://www.facetwealth.com/

<メディア、コンシューマ>

海外旅行サイトのEvaneosが$80M(現地代理店を紹介)
https://www.evaneos.net/
シェアハウスのBungalowが$50M(融資枠)
https://bungalow.com/
スニーカー売買サイトのStockXが$44M(オークション)
https://stockx.com/

* 米国IPO週報の要約版(無料ニュースレター)をメールで配信しています。
「まぐまぐ!」で登録できます。
http://www.mag2.com/m/0001614315.html

【発行人】

TransCap 坂崎 昌平
http://www.transcap.net

米国IPO週報 – 2018/09/10

【米国IPO】

9月3日の週は株式公開がありませんでした。

【ベンチャーM&A】

ベンチャーおよびテクノロジー関連のM&Aでは下記のような案件が話題になりました。

SandozをAurobindoが買収(ジェネリック医薬品;$900M)
https://www.sandoz.com/
RelayrをMunich Reが買収(産業IoTミドルウェア;$300M)
https://relayr.io/en/
OpsGenieをAtlassianが買収(インシデント管理;$300M)
https://www.opsgenie.com/
CENXをEricssonが買収(Ethernetインタコネクト)
https://cenx.com/
Navadsをuberallが買収(マップ向け店舗情報)
https://navads.eu/
Alpine.AIをHeadspaceが買収(音声AIマーケティング)
https://alpine.ai/

【ベンチャーファイナンス】

未公開企業による資金調達のなかで目立ったものをご紹介します。

<半導体、エレクトロニクス、モビリティ、etc.>

倉庫ロボットのGreyOrangeが$140M(AGV)
https://www.greyorange.com/
監視カメラ向けAIのTHINCIが$65M
https://thinci.com/
AIチップのGroqが$52M(Tensor Processing Unit)
https://groq.com/
オンライン中古車ディーラのVroomが$30M
https://www.vroom.com/
ロボット技術のSarcosが$30M(軍用パワードスーツ、など;Raytheonスピンアウト)

Home page

<エネルギー、環境、農業、etc.>

自動運転トラクタのBear Flag Roboticsが$4M
http://bearflagrobotics.com/

<ライフサイエンス、ヘルスケア>

遺伝子データ解析のTempusが$110M(がん個別化治療)
https://www.tempus.com/
遺伝子疾患治療薬の4D Molecularが$90M

Home


在宅フィットネスのMIRRORが$25M(遠隔レッスン)
https://www.mirror.co/
腎臓疾患ケアのCricket Healthが$24M(透析など)

Home


ヨガアプリのAsana Rebelが$17M
https://asanarebel.com/
医師向けAIアシスタントのNotableが$14M
http://notablehealth.com/

<教育、人材、働き方>

ビデオ講習のMasterClassが$80M(各界の著名人によるレッスン)
https://www.masterclass.com/

<ICTインフラ、エンタープライズ、マーケティング>

モバイルセキュリティのAnchorFreeが$295M(VPN)
https://www.anchorfree.com/
インシデント管理のPagerDutyが$90M

PagerDuty | Real-Time Operations | Incident Response | On-Call


データ解析のLaunchmetricsが$50M(アパレル、化粧品業界に特化)
https://www.launchmetrics.com/
契約書レビュー自動化のKiraが$49M(AI)
https://kirasystems.com/
Eコマース物流サービスのShipBobが$40M
https://www.shipbob.com/
位置情報データのFactualが$42M
https://www.factual.com/
位置情報マーケティングのuberallが$25M
https://uberall.com/en
ファイル暗号化のTresoritが$14M(同期、共有)
https://tresorit.com/

<フィンテック、ブロックチェーン、etc.>

銀行向けプラットフォームのSynapseFIが$17M
https://synapsefi.com/

<メディア、コンシューマ>

子供向けソーシャルゲームのRobloxが$150M
https://www.roblox.com/
ゲーム動画共有のCaffeineが$100M
https://www.caffeine.tv/
食事宅配のFarmer’s Fridgeが$30M(新鮮野菜)
https://www.farmersfridge.com/

* 米国IPO週報の要約版(無料ニュースレター)をメールで配信しています。
「まぐまぐ!」で登録できます。
http://www.mag2.com/m/0001614315.html

【発行人】

TransCap 坂崎 昌平
http://www.transcap.net

IPOについて

Initial Public Offering(IPO:株式公開)は、企業にとってファイナンス面での大きな節目です。資本市場においてより大きな成長資金の調達が可能になり、業績を開示して株価の変動という形で市場の評価を受けます。ベンチャーキャピタル(VC)にとってIPOは、未公開の段階で投資した資金の回収やリターンの実現が可能になるExit(出口)のひとつです。一般投資家にとっては、株式市場に新しい銘柄がデビューして、将来の優良企業を発掘するチャンスとなります。実際に投資するかどうかは別としてもIPOは時代の変化を映す鏡として興味深いものです。

NYSEやNASDAQでのIPOは、2016年105社、2017年160社でしたが、それらの国籍、業種、規模はかなり多様です。米国の全上場企業数は1万社強とのことですが、そのうち米国企業は減少傾向にあり4,000社に満たないそうです。日本は全上場企業数が約3,600社、年間IPO社数は2016年83社、2017年90社でした。IPOでの平均的な資金調達金額は米国の方が日本より一桁は大きい印象です。アメリカの株式市場は、野球のメジャーリーグやシリコンバレーのスタートアップと同じ構図で、海外の有力プレーヤが集まることで活力を維持しています。

テクノロジーのスタートアップでいうと、株式公開や上場維持のコストが高いこと、未公開で大きな資金を調達できること、大手企業が早期に高値で買収することから、業界の景気がよい割にIPOはさほど多くありません。ネットバブルのピークだった1999年は486社が株式公開しましたが、その後のピークは2014年の275社でテクノロジー企業の比率も下がっています。どちらかというと選りすぐりとなっていて、業界内でもかなりの知名度や期待感があり、先行投資で急成長していて黒字転換するかどうか、といった段階でIPOするパターンが多いように思います。

実は米国では一般投資家がIPO株に投資することは容易ではありません。というのも日本のような個人投資家向けの平等な抽選は一般的ではなく、機関投資家や富裕層などの大口投資家や得意顧客、発行企業の関係者への割り当てが優先されるためです。該当するIPO株の引受証券会社に口座があるだけではなく、一定以上の口座残高と取引実績がなければ(例えば、TD Ameritradeの場合、口座残高25万ドル、直近3ヶ月の売買30回以上)、そもそも応募の資格さえ与えられないケースもあります。

もちろんIPO時には投資できなくても、IPO後は通常の上場株と同じように、売買することができます。

(2018年9月)