Category Archives: 米国IPO週報

米国市場で資金調達したばかりの有望企業について毎週アップデートしています(IPO、M&A、VC投資)。

カテゴリー別 Top 5 – 2024年5月の資金調達

会社名 製品サービス(備考) 調達額($M)

<半導体、ロボティクス、モビリティ、他>

Wayve 自動運転システム(Nvidia、Microsoftも出資) 1,100
PsiQuantum 量子コンピュータ(シリコンフォトニクス) 615
Motional 自動運転システム(Hyndaiが出資) 475
Blackrock 脳コンピュータインタフェース 200
The Bot Company 家事ロボット 150

<環境、エネルギー、食糧生産>

HIF CO2回収利用(グリーン水素由来e-fuel;出光興産も出資) 164
PosiGen 家庭用太陽光発電システム施工 150
Hysata グリーン水素製造(水電気分解;BPも出資) 111
Electric Hydrogen グリーン水素製造(水電気分解;融資枠) 100
Meati 植物性タンパク質食品(マッシュルーム菌糸体;肉もどき) 100
Syre ポリエステル繊維リサイクル(Volvo、H&Mも出資) 100

<ライフサイエンス、ヘルスケア>

Uniquity 免疫介在性疾患治療薬 300
AltruBio 免疫疾患治療薬(乾癬、乾癬性関節炎、潰瘍性大腸炎、急性移植片対宿主病) 225
BridgeBio 遺伝性疾患治療薬(Googleも出資) 200
Zenas 自己免疫疾患治療薬 200
Bluejay B型肝炎治療薬(Novoも出資) 182

<教育、人材、働き方>

Legion 従業員スケジュール管理自動化 50
Echo360 動画学習管理(高等教育、企業研修;融資枠) 43
GG4L 学校向けアプリ統合(Global Grid for Learning;学習管理データ共有) 36
Elevate 遠隔授業ライブ配信(K-12;教室向け) 25
MagicSchool 教師向けAI 18

< ICTインフラ、エンタープライズ、マーケティング>

CoreWeave GPUクラウド($7.5Bは融資枠;時価総額$17.9B) 8,600
Scale 機械学習データアノテーションAPI(Nvidia、Meta、Intel、Cisco、AMD、Amazonも出資;時価総額$12.8B) 1,000
Wiz クラウドセキュリティ(Salesforceも出資;時価総額$11B) 1,000
DeepL 機械翻訳 300
Vercel ウェブフロントエンド開発環境(Next.js;Googleも出資;時価総額$3B) 250

<フィンテック>

CloudWalk グローバル決済(DeFi;融資枠) 313
Monzo モバイル銀行(Googleも出資) 188
Yendo クレジットカード(自動車担保与信;$150Mは融資枠) 165
Capify 中小企業金融 125
Capchase 運転資金融資(SaaS企業にサブスク経常収益で与信;融資枠) 114

<メディア、コンシューマ>

Zippy Shell 引っ越し/貸倉庫サービス 180
Farcaster SNS(dApps;既報のMerkleと重複か) 150
Merkle 分散型SNSアプリ(Farcaster、Warpcast) 140
Suno 音楽生成AI 125
ByHeart 粉ミルク(ホールミルク由来) 95

資金調達リストのご案内

本サイトに掲載される「ベンチャーファイナンス」のリストです(サンプル)。一覧性の高いExcelファイルで、検討する案件の情報を社内で共有したり、進捗の状況を管理したりするのに便利です。2024年5月(全業種)の255件について、会社名、製品サービス、資金調達額、URL、カテゴリを簡潔に記載しています。TransCap storeでダウンロード販売しています。

米国IPO週報 – 2024/05/27

今週は、1件のIPO、6件のM&A、68件のベンチャー資金調達を紹介しています。

(本ダイジェスト版サイトでは各カテゴリーの上位1社を紹介しています。プレミアム版サイトの情報量は本サイトの約10倍で、より多くのIPOや逆さ上場、M&A、資金調達を網羅しています。詳しくはプレミアム版のご案内をご覧ください。)

【米国IPO】

5月20日の週は1社が株式公開しました(SPAC、REITを除く)。

Bowhead Specialty(NYSE:BOW)
https://bowheadspecialty.com/
・金融(ニューヨーク州New York)
・特殊損害保険
・設立2020年、従業員193人
・売上$283M、利益$25M、時価総額$551M
・調達$128M、初日40%上昇

【ベンチャーM&A】

ベンチャーおよびテクノロジー関連のM&Aでは下記のような案件が話題になりました(交渉中や承認待ちを含む;金額は買収価格)。

VenafiをCyberArkが買収(マシンID管理;$1.5B)
https://www.venafi.com/

【ベンチャーファイナンス】

未公開企業による資金調達のなかで目立ったものをご紹介します(数字は今回の調達金額)。

<半導体、ロボティクス、モビリティ、他>

半導体パッケージのAbsolicsが$75M(ガラスコア基板;SKグループ傘下;CHIPS助成金)
https://www.absolicsinc.com/

<環境、エネルギー、食糧生産>

家庭用太陽光発電システム施工のPosiGenが$150M
https://www.posigen.com/

<ライフサイエンス、ヘルスケア>

免疫疾患治療薬のAltruBioが$225M(乾癬、乾癬性関節炎、潰瘍性大腸炎、急性移植片対宿主病)
https://www.altrubio.com/altrubio/en

<教育、人材、働き方>

オンライン英会話のPraktikaが$36M(生成AIアバター)
https://praktika.ai/

< ICTインフラ、エンターAIプライズ、マーケティング>

機械学習データアノテーションAPIのScaleが$1B(Nvidia、Meta、Intel、Cisco、AMD、Amazonも出資;時価総額$12.8B)
https://scale.com/

<フィンテック>

グローバル決済のCloudWalkが$313M(DeFi;融資枠)
https://cloudwalk.io/

<メディア、コンシューマ>

SNSのFarcasterが$150M(dApps;既報のMerkleと重複か)
https://www.farcaster.xyz/#start

【米国IPO予定】

今後は下記の企業が株式公開する予定です(SPAC、REITを除く)。

Fly-E Group(NASDAQ:FLYE)
電動バイク
https://www.flyebike.com/

最近のスタートアップ資金調達から考えるブロックチェーンの今後

<ポイント>

・ブロックチェーン関連スタートアップの資金調達は2022年から2023年にかけて急減したが、2024年にはいって回復基調にあるように見える

・資金調達の内訳は分散型金融(DeFi)が4割強を占めているが、DeFiを含む分散型アプリ(dApps)に使われているEthereumの高速化や代替チェーンへの投資も増加傾向にある

・多様化するブロックチェーンのエコシステムをつなぐ技術として、ブロックチェーンのブリッジやモジュール化がある

・dAppsが異なるブロックチェーン間でスムーズに情報や資産のやり取りをしたり、状況に応じて最も有利なブロックチェーンを使い分けたりすることが可能になりつつある


2024年1月にSECがBitcoin現物ETFを承認したことや利下げへの期待からBitcoinは3月に史上最高値($73,780)をつけた。今週中にもEthereum現物ETFが承認される可能性があり市場は期待に包まれている(5月22日現在)。これまで暗号資産市場の浮き沈みにも拘わらずブロックチェーン技術への投資や改善の取り組みは連綿と続いてきた。

暗号資産投資情報サービスのThe Blockによれば、暗号資産やブロックチェーンに関連するスタートアップへのVC投資は2021年の$29B、2022年の$32Bから2023年は$11Bに減少した。2022年のピークから約3分の1に落ち込んでいるが、その前のピークだった2018年の$8B、2019年、2020年の$3Bに比べると高い水準を維持している。

米国IPO週報のデータを集計したところ、2023年のブロックチェーン関連スタートアップの資金調達は$2.2Bだった(米国市場を中心に$12M以上の資金調達をカバー)。2024年1月から4月までの資金調達はすでに$1.9Bに達していて、あくまで参考値ではあるが、前年を159%上回るペースとなっている。

ブロックチェーン関連スタートアップの資金調達の内訳(金額ベース)を見ると、昨年も今年も分散型金融(DeFi)が4割強を占めている。その他の分散型アプリケーション(dApps)は昨年の31%から今年は10%に減少している。一方で、Layer 1のスタートアップが3%から20%、Layer 2のスタートアップが8%から19%に増加している。

ブロックチェーンのレイヤー構造は、Layer 1が基盤ブロックチェーン、Layer 2がそのスケーリング、Layer 3以上がアプリケーション層となっている。EthereumはLayer 1のブロックチェーンの代表例のひとつであり、スマートコントラクトを実装していることで、dAppsの開発運用プラットフォームとして高いシェアを誇っている。

Ethereumのスケーラビリティについては、処理速度の制約(一説によれば昨年末時点で毎秒15件程度)や手数料(ガス代)の高騰が課題となっている。渋滞緩和のため、2022年9月にコンセンサスアルゴリズムの移行(Proof of WorkからProof of Stakeへ)、2024年3月にシャーディングの実装(並列処理による負荷分散)が行われた。

EthereumのLayer 2 スケーリングは、Ethereumの分散性やセキュリティを犠牲にせず、処理速度を向上する取り組みである。最近の典型的なスタートアップとしては、SuccinctやMatterLabsのように、オフチェーン(Ethereumの外)で計算を実行して有効性証明だけをチェーン(Ethereum)に送信するゼロ知識ロールアップがある。

Layer 1の典型的なスタートアップは、MonadやBerachainのようにEthereumの代替を目指すブロックチェーンで、毎秒10,000件といった高速処理を特長としている。Ethereumとは異なるコンセンサスアルゴリズムを採用しているが、Ethereum仮想マシン(EVM)互換であることでEthereumのアプリをそのまま使うことができる。

このように多様化するブロックチェーンのエコシステムをつなぐ技術として、ブロックチェーンのブリッジ(最近資金調達したスタートアップでいえばWormholeやPolyhedra)やモジュール化(例えばモジュール型データ可用性ネットワークのCelestiaや0G)があり、前述のスケーリングでも大きな役割を果たす。

このような様々な取り組みによって、既存ブロックチェーンのスケーラビリティ問題を克服しつつ、dAppsが異なるブロックチェーン間でスムーズに情報や資産のやり取りをしたり、状況に応じて最も有利なブロックチェーンを使い分けたりすることが可能になり、非中央集権的なインターネット(Web3)の実現に近づくことが期待できる。


<ブロックチェーン関連スタートアップの資金調達(2024年1月~4月;上位3社)>

分散型アプリ(DeFiを含む)

会社名 製品サービス(備考) 調達額($M) URL
Nebeus 暗号資産ウォレット(マルチカレンシー口座;British Business Bankも出資) 272 https://nebeus.com/
EigenLayer Ethereumステーキング 100 https://www.eigenlayer.xyz/
Freechat Web3アプリ(暗号化メッセージングなど) 80 https://www.freechat.world/

Layer 2

Succinct ゼロ知識仮想マシン(ロールアップ;オープンソース) 55 https://succinct.xyz/
Eclipse Ethereumスケーリング(Solana仮想マシン;CelestiaとのパラレルLayer 2) 50 https://www.eclipse.xyz/
MatterLabs Ethereumスケーリング(ゼロ知識;ICO) 50 https://matter-labs.io/

Layer 1

Monad ブロックチェーン(EVM互換Layer 1;10K tps;Animocaも出資) 225 https://www.monad.xyz/
Berachain ブロックチェーン(EVM互換Layer 1;Proof of Liquidity;Samsung、Animocaも出資) 100 https://www.berachain.com/
Flare ブロックチェーン(EVM互換Layer 1;データ機能を強化) 35 https://flare.network/

ブリッジ、モジュール化

0G モジュラー型AIブロックチェーン(Data Availability Layer;Samsung、Animoca、Allianceも出資) 35 https://0g.ai/
Avail ウェブ3インフラレイヤー(Unification Layer;Polygonスピンアウト) 27 https://www.availproject.org/
Polyhedra クロスチェーンブリッジ(ゼロ知識) 20 https://polyhedra.network/

資金調達リストのご案内

その他のブロックチェーン関連スタートアップの資金調達を含むリスト(Excelファイル)をTransCap storeでダウンロード販売しています。2023年1月から2024年4月までの112件について、会社名、製品サービス、資金調達額、URL、カテゴリを簡潔に記載しています。