Monthly Archives: September 2021

米国IPO週報 x SDGs:Goal 8 Decent Work and Economic Growth

Goal 8:働きがいも経済成長も「包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用を促進する」

(関連アジェンダ)

8.3 生産活動や適切な雇用創出、起業、創造性、および技術革新を支援する開発重視型の政策を促進するとともに、金融サービスへのアクセス改善などを通じて中小零細企業の設立や成長を奨励する。

8.9 2030年までに、雇用創出、地元の文化・産品の販促につながる持続可能な観光業を促進するための政策を立案し実施する。

8.10 国内の金融機関の能力を強化し、すべての人々の銀行取引、保険、および金融サービスへのアクセス拡大を促進する。

(関連カテゴリー)

<ライフサイエンス、ヘルスケア> <教育、人材、働き方>

アジェンダ8.3の「生産活動や適切な雇用創出、起業、創造性、および技術革新を支援する開発重視型の政策」は今や各国政府の産業政策の目玉のひとつになっている。とくに先進国ではオープンイノベーション促進、スタートアップ支援、ベンチャーキャピタル拡充に予算がつくようになり、コロナ前まではラスベガスのConsumer Electronics ShowやサンフランシスコのTechCrunch Disruptのようなイベントでも各国政府がスポンサーとなり自国のスタートアップを紹介するブースが年々拡充していた。

米国ではMeTooやBlack Lives Matterの運動を背景に、女性や黒人の起業家による資金調達の難しさが問題視されていて、それぞれに特化したファンド設立や起業支援プログラムなどの取り組みが始まっている。また、技術革新はデジタル化および自動化に向かう傾向があり、創出される雇用もソフトウェア関連が多いため、スキル面でのミスマッチが生じている。それを解消するためにGoal 4 Quality Educationで取り上げたプログラミングなどの職業訓練がより一層重要になっている。

アジェンダ8.9の持続可能な観光業や地域の活性化については、旅行予約サイトの活用やSNSでの情報発信など、グローバル化とデジタル化が大きなチャンスをもたらすと同時に、それらを活かせるかとうかで地域間や業者間の格差が生じていた。現在は新型コロナの影響で業界全体がダメージを受けていて、感染対策や風評対策はもちろん、急激な政策や人流の変化への適応、不安定な市場環境での従業員の処遇など、持続可能な観光業の意味合いがさらに複雑化している。

アジェンダ8.10の「金融サービスへのアクセス拡大」については、Goal 1 No Povertyで取り上げたフィンテック関連スタートアップと重複する。ここでは「働きがいのある人間らしい雇用 」という観点から関連するスタートアップを取り上げてみた。米国でも日本と同様に従業員のメンタルヘルスが大きな問題となっているのがよくわかる。

(関連スタートアップ)

メンタルヘルスケアのLyraが$187M(従業員福利厚生)
https://www.lyrahealth.com/

社内診療所のCrossoverが$168M(遠隔ワークにも対応)
https://crossoverhealth.com/

職場ウェルネスのThriveが$80M(ストレス管理など)
https://thriveglobal.com/

メンタルヘルスケアアプリのModern Healthが$74M(従業員福利厚生;$1.2B)
https://www.joinmodernhealth.com/

職場安全点検アプリのSafetyCultureが$73M(時価総額$1.6B)
https://safetyculture.com/

従業員キャリア開発のGloatが$57M(社内人材AIマッチング;Intelも出資)
https://www.gloat.com/

遠隔診療のWheelが$50M(バーチャル企業内医務室)
https://www.wheel.com/

職場メンタルヘルスケアのUnmindが$47M
https://unmind.com/

従業員子育て支援のCleoが$40M
https://hicleo.com/

妊娠出産支援のStork Clubが$30M(従業員福利厚生)
https://joinstorkclub.com/

有給休暇換金のSorbetが$21M
https://www.getsorbet.com/

オフィス設計のSaltmineが$20M(職場改善)
https://www.saltmine.com/

職場安全衛生管理のAclaimantが$15M
https://www.aclaimant.com/

*金額は直近ラウンド;調達時期は2021年(8月末まで)

【更新情報】

IT人材派遣のTuringが$87M(遠隔地に住むベテランのソフトウェア開発者に特化;時価総額$1.1B)
https://www.turing.com/

(2022年1月3日更新)

メンタルヘルスケアのLyraが$235M(従業員福利厚生)
https://www.lyrahealth.com/

遠隔診療のWheelが$150M(バーチャル診療所;Salesforceも出資)
https://www.wheel.com/

職場安全管理のStrongArmが$50M(労災防止ウェアラブル)
https://www.strongarmtech.com/

インディペンデントコントラクタ報酬支払管理のInterchecksが$16M(即時決済、税務自動化)
https://site.interchecks.com/

(2022年3月1日更新)

仮想空間オフィスのoViceが$32M(Salesforceも出資)
https://ovice.in/

現場安全管理のProtexが$18M(マシンビジョン;Flexportも出資)
https://www.protex.ai/

(2022年9月12日更新)

Spot, a Seattle metaverse startup for hybrid workforces, raises $5.5M – GeekWire
https://www.geekwire.com/2022/spot-a-seattle-metaverse-startup-for-hybrid-workforces-raises-5-5m/

(2022年10月17日更新)

バーチャル本社のRoamが$30M
https://ro.am/

TuMeke Ergonomics Inks $2.5M Seed Round
https://vcnewsdaily.com/tumeke-ergonomics/venture-capital-funding/lyqhswdgpc

(2022年11月7日更新)

メタバース会議室のCommonGroundが$25M(アバター参加;ヘッドセット不要)
https://www.commonground-ai.com/

(2022年12月27日更新)

VR職業研修のTransfrが$40M
https://www.transfrvr.com/

職場安全管理のTuMekeが$13M(マシンビジョン;筋骨格系障害防止)
https://www.tumeke.io/

(2023年10月30日更新)

産業用スマートグラスのRokidが$20M(5G×MR/AR×AI)
https://rokid.ai/

サーベイのThoughtexchangeが$14M(学校、企業、コミュニティの意見集約)
https://www.thoughtexchange.com/

障害者採用/研修管理のInclusivelyが$13M
https://www.inclusively.com/

(2023年12月4日更新)

TuMeke, a computer vision platform that automatically assesses injury risk in manufacturing facilities, Raises $10M
https://vcnewsdaily.com/tumeke/venture-capital-funding/gtxsqdfnfj

(2024年1月1日更新)

* 2024年4月以降はプレミアム版リストで紹介しています。

目次にもどる

米国IPO週報 x SDGs:Goal 9 Industry, Innovation and Infrastructure

Goal 9:産業と技術革新の基礎をつくろう「強靱なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及び技術革新の推進を図る」

(関連アジェンダ)

9.4 2030年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術および環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。すべての国々は各国の能力に応じた取り組みを行う。

9.c 後発開発途上国において情報通信技術へのアクセスを大幅に向上させ、2020年までに普遍的かつ安価なインターネット・アクセスを提供できるよう図る。

(関連カテゴリー)

<半導体、ロボティクス、モビリティ、他> <環境、エネルギー、食糧生産>

アジェンダ9.cの後発開発途上国における情報通信技術については、Google、Facebookなどの大手ハイテク企業が(ネット人口の増大が市場の拡大につながることから)発展途上国でのインターネットアクセスの向上に力を入れてきた。Googleの姉妹会社にあたるAlphabet/Loonは2020年7月にケニアで気球インターネットの商用サービスを開始したが採算性を理由に撤退してしまった。現在はStarlinkOneWebが構築している衛星インターネットが(通信インフラが整っていない発展途上国、僻地、海上など)全地球をカバーするブロードバンド接続サービスとして期待されている。ここでは衛星インターネットおよび 「環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善」に関連するスタートアップを取り上げた。

(関連スタートアップ)

衛星インターネットのOneWebが$550M(Eutelsatも出資)
https://www.oneweb.world/

建設ソリューションのPrescientが$190M(高層集合住宅などの工期短縮やコスト削減;JE Dunnも出資)
https://prescientco.com/

化学反応器のBayoTechが$157M(水素や化学肥料の分散型生産システム)
https://www.bayotech.us/

湿式精錬技術のJettiが$50M(銅、亜鉛、ニッケルの硫化浸出、抽出)
https://jettiresources.com/

金属生産技術のBoston Metalが$50M(溶融酸化物電気分解;製鉄など)
https://bostonmetal.com/

永久磁石のNironが$21M(レアアースフリー;Volvoも出資)
https://nironmagnetics.com/

IoT衛星通信接続のHiberが$30M
https://hiber.global/

*金額は直近ラウンド;調達時期は2021年(8月末まで)

【更新情報】

リチウム生産技術のLilacが$150M(イオン交換方式;BMW、SK、住友商事も出資)
http://www.lilacsolutions.com/

重要インフラ事故リスク予測のUrbintが$60M(電力、ガス、通信など;Salesforceも出資)
https://urbint.com/

合成DNAコンピュータのCatalogが$35M
https://www.catalogdna.com/

(2021年10月18日更新)

AIチップ/スパコンのCerebrasが$250M(機械学習、計算流体力学)
https://cerebras.net/

量子コンピュータ/センサ向け制御ソフトウェアのQ-CTRLが$25M(エラー補正など;Airbusも出資)
https://q-ctrl.com/

高温超電導線材のMetOxが$23M
https://www.metoxtech.com/

業務用発電機/エアコンプレッサのQnergyが$16M(スターリングエンジン)
https://www.qnergy.com/

工場OSのFirst Resonanceが$14M(ハードウェア設計製造管理)
https://www.firstresonance.io/

(2022年1月3日更新)

フレキシブル回路のCelLinkが$250M(ワイヤハーネス代替など;3M、BMW、Boschも出資)
https://cellinktechnologies.com/

皮革代替材料のMycoWorksが$125M(キノコ菌糸体)
https://www.mycoworks.com/

(2022年3月1日更新)

リチウム生産技術のSummit Nanotechが$14M
https://www.summitnanotech.ca/

(2022年4月4日更新)

デジタルモータのTurntideが$80M(空調システム省エネ;時価総額$1B)
https://turntide.com/

(2022年7月2日更新)

過酸化水素のSolugenが$200M(バイオリアクタで生産;時価総額$2B)
https://www.solugentech.com/

量子コンピュータのXanaduが$100M(光チップ;Porscheも出資)
https://www.xanadu.ai/

チップレットインタコネクトのEliyanが$40M(UCIe互換;Intel、Micronも出資)
https://eliyan.com/

産業用電気モータのInfinitumが$30M(PCBステータ;Caterpillarも出資)
https://www.infinitumelectric.com/

永久磁石のNironが$18M(レアアースフリー;Volvoも出資)
https://nironmagnetics.com/

鉱業向けパルスパワーのI-ROXが$12M(I-Pulse傘下)
https://www.ipulse-group.com/

Z軸繊維技術のBoston Materialsが$12M(炭素繊維、アルミ板金など;GS、PTTも出資)
https://www.bomaterials.com/

(2022年12月1日更新)

Machina Labs – Dieless Robotic Sheet Forming
https://www.machinalabs.ai/

(2023年2月24日更新)

バイオ化学品のCheckerspotが$55M(高機能ポリウレタンや油脂コーティングの材料設計製造)
http://www.checkerspot.com/

クリーンディーゼルエンジンのClearFlameが$30M(Rio Tintoも出資)
https://www.clearflame.com/

量子コンピュータのQuantum Brillianceが$18M(合成ダイヤモンド)
https://quantumbrilliance.com/

伝熱流体添加剤のHTが$15M(HVAC向け)
https://htmaterialsscience.com/

ナノフィルタのSepPureが$12M(化学分離)
https://seppure.com/

Biocomputers Using Human Brain Cells Could Overpower AI | Extremetech
https://www.extremetech.com/extreme/343498-biocomputers-using-human-brain-cells-could-overpower-ai

(2023年4月3日更新)

ダイヤモンド半導体、世界初の電子回路開発 佐賀大学・嘉数誠教授 高効率実証、実用化早める成果
https://news.yahoo.co.jp/articles/b895d04fe5c2bd9d7ea9dd085a1d8dbada6fb1b5

(2023年5月1日更新)

ナノ粒子プリンタのVSParticleが$16M(ナノ多孔質材料の合成/蒸着)
https://vsparticle.com/

(2023年7月31日更新)

高温超電導ケーブルのVeirが$25M(送電ロス低減)
https://veir.com/

(2023年8月28日更新)

物理シミュレーション/ジェネレーティブデザインのPhysicsXが$32M
https://www.physicsx.ai/

永久磁石のNironが$33M(レアアースフリー;Stellantis、GMも出資)
https://nironmagnetics.com/

電気モータのAEMが$29M(レアアースフリー;EVなど)
https://advancedelectricmachines.com/

(2023年12月4日更新)

エッジAIチップのEnChargeが$23M(アナログインメモリコンピューティング)
https://www.enchargeai.com/

イオン交換膜のIonomrが$20M(旭化成、Shell、Chevron、Samsungも出資)
https://ionomr.com/

製造業向け生成AIのAtomicが$17M(ジェネレーティブデザイン/シミュレーション;ヤマハ、Porsche、トヨタも出資)
https://www.atomic.industries/

AIチップのExtropicが$14M(生成AI × 量子コンピュータ)
https://www.extropic.ai/

(2024年1月1日更新)

小型アクチュエータのCambridge Mechatronicsが$40M(形状記憶合金ワイヤ;ソニー、Intelも出資)
https://www.cambridgemechatronics.com/en/

永久磁石のNironが$25M(レアアースフリー;Samsung、Magna、Allisonも出資)
https://nironmagnetics.com/

電気ボイラーのAtmosZeroが$21M(熱交換器)
https://atmoszero.energy/

量子コンピュータのDiraqが$19M(シリコン量子ドット)
https://diraq.com/

宇宙資源開発のInterluneが$16M(月)
https://www.interlune.space/

燃料電池触媒のFeynmanが$14M(ナノ材料)
http://feynmandynamics.com/

固体変圧器のAmperesandが$13M(SiC;TDKも出資)
https://amperesand.io/

(2024年2月26日更新)

量子の不思議、エネルギーが「瞬間移動」 実証にも成功 – 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC08CUH0Y4A200C2000000/

(2024年3月31日更新)

* 2024年4月以降はプレミアム版リストで紹介しています。

目次にもどる

米国IPO週報 x SDGs:Goal 10 Reduced Inequalities

Goal 10:人や国の不平等をなくそう「各国内及び各国間の不平等を是正する」

(関連アジェンダ)

10.c 2030年までに、移動労働者による送金コストを3%未満に引き下げ、コストが5%を超える送金経路を撤廃する。

(関連カテゴリー)

<フィンテック>

Goal 10の「各国内及び各国間の不平等を是正する」 は国内での所得再配分や国際間の経済援助が中心で民間企業の得意分野ではない。人種差別や男女差別による経済格差を是正しようとするスタートアップについてはGoal 1 No PovertyGoal 5 Gender Equalityで取り上げた。ここではアジェンダ10cの「移動労働者による送金コスト」に関連して海外送金や米国の移民や留学生向けの金融サービスを取り上げてみた。

(関連スタートアップ)

海外送金のWiseが$226M(旧社名TransferWise;$226Mは融資枠)
https://wise.com/jp

海外送金のZeps/WorldRemitが$292M
https://www.zepzpay.com/

海外送金アプリのPaySendが$125M
https://paysend.com/

オンライン消費者金融のStiltが$100M(移民向けに特化;融資枠)
https://www.stilt.com/

留学生向け教育ローンのMPOWERが$100M
https://www.mpowerfinancing.com/

海外送金のThunesが$60M
https://www.thunes.com/

自動車ローンのLendbuzzが$60M(駐在員、留学生向け;融資枠$300Mも)
https://lendbuzz.com/

移民向けアプリのWelcomeTechが$35M(金融サービス、生活情報など;ソフトバンクも出資)
https://welcome.tech/

オンライン銀行のRewireが$20M(欧州の移民向け;海外送金に強み)
https://www.rewire.com/

クロスボーダー銀行アプリのZolveが$15M(印米間の留学生や移住者向け)
https://zolve.com/

*金額は直近ラウンド;調達時期は2021年(8月末まで)

【更新情報】

海外送金アプリのTaptap Sendが$65M(移民向け)
https://www.taptapsend.com/

(2022年1月3日更新)

移民向けオンラインローンのStiltが$14M(融資枠を含む)
https://www.stilt.com/

(2022年4月4日更新)

移民向けアプリのWelcomeTechが$30M(金融サービス、生活情報など;ソフトバンクも出資)
https://welcome.tech/

(2022年5月4日更新)

FairPlay Pulls In $10M Series A Round(与信アルゴリズムのバイアスを評価して改善)
https://vcnewsdaily.com/fairplay/venture-capital-funding/vmcplhhmrd

(2022年8月1日更新)

デジタル銀行のDaylightが$15M(LGBTQIA+向け;Citiも出資)
https://www.joindaylight.com/

(2022年12月1日更新)

自動車ローンのLendbuzzが$20M(駐在員、留学生向け;融資枠)
https://lendbuzz.com/

(2023年6月27日更新)

国際個人信用情報データのNovaが$45M(留学生や駐在員が母国の与信履歴で米国のクレジットカードを取得)
https://www.novacredit.com/

自動車ローンのLendbuzzが$45M(駐在員、留学生向け;MUFJも出資)
https://lendbuzz.com/

(2023年10月30日更新)

留学生向け教育ローンのMPOWERが$150M(追加の融資枠)
https://www.mpowerfinancing.com/

(2023年12月4日更新)

* 2024年4月以降はプレミアム版リストで紹介しています。

目次にもどる