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米国IPO週報 x SDGs:Goal 1 No Poverty

1 9月
Goal 1:貧困をなくそう「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる」

(関連アジェンダ)

1.4 2030年までに、貧困層及び脆弱層をはじめ、すべての男性及び女性が、基礎的サービスへのアクセス、土地及びその他の形態の財産に対する所有権と管理権限、相続財産、 天然資源、適切な新技術、マイクロファイナンスを含む金融サービスに加え、経済的資源についても平等な権利を持つことができるように確保する。

(関連カテゴリー)

<フィンテック>

Goal 1 No Povertyは、主として国連による発展途上国の貧困対策に関連するもので、アジェンダ1.4ではGrameen BankKivaのようなマイクロファイナンスの取り組みが想定されている。米国の貧困問題は差別や格差の問題として認識されていて、既存の金融機関が相手にしなかった顧客層(Underserved Markets)に商機を見出すフィンテックのスタートアップなど、デジタル技術を駆使して採算性を確保しつつ機会の均等を実現しようとする取り組みが進んでいる。

(関連スタートアップ)

クレジットカードのPetalが$127M(クレジットスコア不要; $127Mは融資枠)
https://www.petalcard.com/

住宅購入支援のDivvyが$200M(Divvyが代わりに購入して賃貸;資金ができたら購入に切り替え;家賃の一部を頭金に充当)
https://www.divvyhomes.com/

賃貸不動産入居支援のRhinoが$95M(敷金制度の保険化;高額な敷金→低額な保険料)
https://www.sayrhino.com/

少額ローンのSeedFiが$65M(信用履歴構築支援;$50Mは融資枠)
https://www.seedfi.com/

フリーランス向けモバイル銀行のLiliが$55M
https://lili.co/

賃貸不動産入居支援のLeaseLockが$52M(敷金制度の保険化;高額な敷金→低額な保険料)
https://leaselock.com/

学生向けクレジットカードのDeserveが$50M(信用履歴構築支援)
https://www.deserve.com/

債務整理支援のSymendが$43M(行動科学とAIによる債務者エンゲージメント)
https://symend.com/

信用履歴構築支援のKikoffが$30M
https://kikoff.com/

マイクロ保険APIのDigiSureが$13M(ライドシェアなど)
https://www.digisure.ai/

*金額は直近ラウンド;調達時期は2021年(8月末まで)

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米国IPO週報 x SDGs:Goal 2 Zero Hunger

1 9月
Goal 2:飢餓をゼロに「飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する」

(関連アジェンダ)

2.3 2030年までに、土地、その他の生産資源や、投入財、知識、金融サービス、市場及び高付加価値化や非農業雇用の機会への確実かつ平等なアクセスの確保などを通じて、女性、先住民、家族農家、牧畜民及び漁業者をはじめとする小規模食料生産者の農業生産性及び所得を倍増させる。

2.4 2030年までに、生産性を向上させ、生産量を増やし、生態系を維持し、気候変動や極端な気象現象、干ばつ、洪水及びその他の災害に対する適応能力を向上させ、漸進的に土地と土壌の質を改善させるような、持続可能な食料生産システムを確保し、強靭な農業を実践する。

2.c 食料価格の極端な変動に歯止めをかけるため、食料市場及びデリバティブ市場の適正な機能を確保するための措置を講じ、食料備蓄などの市場情報への適時のアクセスを容易にする。

(関連カテゴリー)

<環境、エネルギー、食糧生産>

Goal 2 Zero Hungerでスタートアップの取り組みが盛んなアジェンダとして2.4の「持続可能な食料生産システム」の確保がある。牧畜による食肉の生産は環境負荷が大きく持続可能ではないという観点から、Beyond MeatImpossible Foodsのように、バイオ技術を駆使した植物由来タンパク質食品である肉もどきの普及が進んでいる。今年も数多くの類似スタートアップが資金調達しているが、きりがないのでここでは割愛させていただく。食料の生産、備蓄、流通、消費に関連して廃棄ロスの問題も深刻だが、Goal 12 Responsible Consumption and Productionで紹介している。農業関連スタートアップとして、各種のデータ予測解析による精密農業、バイオ技術による農薬・化学肥料の代替や品種改良などがあるが、どちらかというと先進国の大規模農場の経営合理化や環境対策を目指すものとなっている。

(関連スタートアップ)

農畜産業向け育種データ予測解析のBenson Hillが逆さ上場(NYSE:STPC)
https://bensonhill.com/

農業バイオのPivotが$430M(発酵生産した根粒菌で化学肥料を代替)
https://www.pivotbio.com/

ProsperaをValmontが買収(農業データ解析;$300M)
https://www.prospera.ag/

遺伝子編集種苗のInariが$208M(時価総額$1.2B)
https://www.inari.com/

農業バイオのPairwise Plantsが$25M(遺伝子編集)
https://pairwise.com/

食用種子生産技術のEquinomが$20M(遺伝子組み換えでない胡麻など)
https://www.equi-nom.com/

農場管理のRegrowがが$17M(温室効果ガス排出量の測定、報告、検証)
https://www.regrow.ag/about-us

*金額は直近ラウンド;調達時期は2021年(8月末まで)

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米国IPO週報 x SDGs:Goal 3 Good Health and Well-Being

1 9月
Goal 3:人々に保健と福祉を「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」

(関連アジェンダ)

3.5 薬物乱用やアルコールの有害な摂取を含む、物質乱用の防止・治療を強化する。

(関連カテゴリー)

<ライフサイエンス、ヘルスケア>

Goal 3 Good Health and Well-Beingはとても幅広い概念なので、バイオ創薬、医療機器、健康保険、フィットネスなど、<ライフサイエンス、ヘルスケア> 分野のすべてのスタートアップが該当するといっても過言ではない。新型コロナmRNAワクチンのBioNTechModernaはパンデミックへの迅速な対応という観点からスタートアップの存在価値を印象づけた。株式市場においても、IPO後の時価総額の推移は、それぞれ2年弱で27倍、3年弱で22倍と相応の評価を受けている。一方で、これらのワクチンの供給はまだ先進国に偏っており(WHOが先進国における3回目のブースターを批判しているように)SDGsの観点からはまだ道半ばといえる。アジェンダ3.5の「薬物乱用やアルコールの有害な摂取を含む、物質乱用の防止・治療」に関しては、依存性が低い鎮痛薬の開発やデジタル治療の取り組みが進んでいる。関連スタートアップとして、非オピオイド鎮痛薬のCentrexion、依存症デジタル治療のQuit GeniusGroupsPearなどがある。その他にもユニークなアプローチで人々の健康や福祉を引き上げてくれそうなものを関連スタートアップとして取り上げてみた。

(関連スタートアップ)

ドローン医療物資輸送のZiplineが$250M
https://flyzipline.com/

集団遺伝学的公衆衛生管理のColorが$167M(遺伝性疾患発病リスク診断、COVID-19検査;$1.5B)
https://www.color.com/

ポータブルMRIのHyperfineが$90M(Googleも出資)
https://hyperfine.io/

問診アプリのAdaが$90M(チャットボット;Bayer、Samsungも出資)
https://ada.com/

ポータブル網膜スキャナのTesseractが$80M(高血圧、糖尿病、アルツハイマ病、心筋梗塞などの予防診断)
https://www.tesseracthealth.com/

高齢者生活支援のPapaが$60M(孫世代の大学生を派遣)
https://www.joinpapa.com/

依存症デジタル治療のQuit Geniusが$64M(タバコ、アルコール、オピオイド)
https://www.quitgenius.com/

オピオイド依存症治療プログラムのGroupsが$60M
https://groupsrecovertogether.com/

アルツハイマ病遠隔診断アプリのLinusが$55M
https://linus.health/

ポータブル脳波計(EEG)のCeribellが$53M
https://www.ceribell.com/

集団ゲノミクスのHelixが$50M(COVID-19検査など)
https://www.helix.com/

タンクレス一酸化窒素(血管拡張剤)吸入システムのVeroが$50M(急性呼吸窮迫症候群、新生児遷延性肺高血圧症、COVID-19などの治療)
https://www.vero-biotech.com/

薬物乱用治療のPearが$20M(薬剤とアプリを併用)
https://peartherapeutics.com/

遠隔メンタルヘルスケアのLucid Laneが$16M(依存症など)
https://www.lucidlane.com/

オピオイド依存症遠隔治療プログラムのOpheliaが$15M
https://ophelia.com/

*金額は直近ラウンド;調達時期は2021年(8月末まで)

(関連IPO)

BioNTech(BNTX)
https://biontech.de/
・バイオ(ドイツMainz)
・がん個別化治療;転移性黒色腫など
・設立2008年、従業員1,179人
・売上$150M、損失$127M、時価総額$3.4B
・$150M調達、初日5%下落(2019年10月)
→ 直近の売上$7.8B、利益$4.1B、時価総額$92.6B(2年弱で27倍)

Moderna (MRNA)
https://www.modernatx.com/
・バイオ(マサチューセッツ州Cambridge)
・mRNA治療プラットフォーム;感染症、がん、心血管疾患など
・設立2010年、従業員700人
・売上$192M、損失$299M、時価総額$7.5B
・$604M調達、初日19%下落(2018年12月)
→ 売上$7B、利益$3.9B、時価総額$166.3B(3年弱で22倍)

【更新情報】

臓器オンチップのEmulateが$82M(脳、腸、腎臓、肝臓、肺)
https://emulatebio.com/

病気診断のOwlstoneが$58M(呼気分析;肺がん、肝疾患、呼吸器疾患)
https://www.owlstonemedical.com/

タンパク質間相互作用データ解析のA-Alphaが$20M(合成生物学)
https://www.aalphabio.com/

(2021年10月18日)

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