テックIPOレビュー(2017年5月)- Appian、Veritoneなど

先月はローコード開発プラットフォームのAppianが株式公開しました。初日に25%上昇しており、その後の株価推移も堅調です。ローコード開発(Low-code development;Rapid Application Deliveryとも言います)プラットフォームでは、GUI操作が中心でいちからコードを書かなくてもよいので、プログラミングの経験が少ない人であっても、ウェブやモバイルのアプリを短時間で作成できるそうです。出来合いのテンプレートやワークフローが用意されているので、IT部門のプログラマの作業負担を減らしたり、ビジネスマンがセルフサービスで業務アプリを作成したりできます。企業の様々な部門が様々な目的のアプリを使ってデジタル化(業務プロセス自動化)を進めることができ、日々の現場で生成変化する業務課題への迅速な対応や継続的な改善が可能になります。

類似のベンチャー企業として、Outsystems、Mendixなどがありますが、IPOはAppianが一番乗りとなりました。大手企業では、SalesforceがCRMの拡張機能を中心にAppCloud LightningやAppExchangeで同様のサービスを展開しています。最近ではEinsteinという人工知能による予測機能をアプリに実装できるようです。

人工知能関連では、Veritoneが株式公開しました。初日に13%下落しており、現在の時価総額は$172Mにとどまっています。同社の人工知能プラットフォームでは、Google、IBM、Microsoft、Nuanceなど複数の人工知能エンジンを使って、音声や動画などの非構造化データを解析できるそうです。もともとオンライン広告ビジネス(人工知能によるメディア検索・解析を生かした広告プレースメントなど)を展開していましたが、そちらの売上は減少傾向にあり、より汎用的なクラウドサービスへの業態転換を進めている最中とのことです。今回のIPOは、ハイプサイクルの幻滅期に入ったとも言われる人工知能に対する市場の冷静な評価が現れた形となりましたが、人工知能の応用普及の状況を把握する上で参考までに今後もウォッチを続けたい銘柄です。

【2017年5月のテックIPO】

Appian(APPN)
・ソフトウェア(バージニア州Reston)
・企業向けアプリ開発プラットフォーム
・設立1999年、従業員753名
・売上$135M、損失$18M、時価総額$704M
・$75M調達、初日25%上昇

SMART Global Holdings(SGH)
・エレクトロニクス(カリフォルニア州Newark)
・メモリ製造;DRAM、Flash;ブラジル市場向け
・設立1988年、従業員1,139名
・売上$627M、損失$8M、時価総額$228M
・$58M調達、初日22%上昇

Veritone(VERI)
・ソフトウェア(カリフォルニア州Newport Beach)
・人工知能プラットフォーム;メディアなど非構造化データ解析
・設立2014年、従業員150名
・売上$9M、損失$30M、時価総額$208M
・$38M調達、初日13%下落

【発行人】

TransCap 坂崎 昌平 – http://www.transcap.net

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